グライダは横風の影響でドリフトするため、目的地に真っ直ぐ向かうためには機首を風上側に向けて偏流飛行する必要があります。
今回は、この偏流飛行の効率について改めて考えてみます。
■ 計算パラメータ
ここでは簡単に、進行方向に対して真横から風が吹いている場合を想定します。
計算には次のパラーメータを使用します。
・Vp: グライダの大気速度
・Vw: 風速
・Len: 目的地までの距離
図1. 計算パラメータ
軌跡を表示するためにグライダの姿勢を計算
しながら、到達時間を計算してみましょう。
まず、スタート地点を(Sx, Sy)、ある時点のグライダの位置をP(Px, Py)とし、到着地点を(Gx, Gy = Sy)とします。
(計算を簡単にするためにスタートとゴールのy座標を合わせます)
偏流飛行している場合は目的地まで真っ直ぐ飛ぶため Py = Sy となり、機体の向
きは常に asin(-Vw / Vp) となります。
一方、偏流飛行せず常に目的地に機首を向けて飛ぶ場合、ある地点Pにおける機体の向きは、
atan((Gy - Py)/(Gx - Px)) となります。
さて、これらフライトの違いによる到達時間の差は、どの程度になるのでしょうか。
サンプルとして機速 = 10[m/s]、風速 = 5[m/s]、目的地までの距離を1000[m]として
軌跡を見てみましょう。
図2. フライトサンプル
スタート直後を見ると偏流飛行せずに真っ直ぐ目的地へ機首を向けた{青}が若干早いですが、
目的地付近でアゲインストとなった{青}は急激に減速します。偏流飛行した{赤}は
一定の速度でターゲットに滑空しており、当然ですが速度低下はありません。
このときの目的地までの到達時間はどうなっているのでしょうか。
偏流飛行時の{赤}:115[秒]
目的地へ機首を向け続けた{青}:133[秒]
つまり18秒(15%)の差となっています。
同じように、いくつかの風速で差を見てみましょう。
表1. 到達時間の比較
飛行方法\風速 |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9[m/s] |
偏流飛行 |
101 |
102 |
105 |
109 |
115 |
125 |
140 |
167 |
229 [秒] |
目的地へ機首を向け続ける |
101 |
104 |
110 |
119 |
133 |
156 |
196 |
278 |
520 [秒] |
ロス |
0% |
2% |
5% |
9% |
15% |
25% |
40% |
67% |
127% |
風が強いほどロスが大きくなっており、偏流飛行の効率の良さが確認できます。
ナビビューで表示されるパイロンアローの方位はGPS進行方位から求めているため、
偏流角が組み込まれています。パイロンアローが真上になるようにグライド
すると、効率よく飛ぶことができます。この時パイロンは、パイロンアローが指す
方向にはありません。
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